第三十四話 八月二十四日土曜日 湯あたり

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 キスしながら俺の腰を両手で掴み上下に揺する先輩。内臓に突き上げられる。もうすっかり身体が覚えてしまった。出すよりもキツイ快感が何度も俺に襲いかかる。 「うぁっ! っは、ぁああああっっ! ……っぁ……はぁっ、うぅぅっっ」  勝手に達し、ブルブルと痙攣する俺。  その首根っこを掴み支え、片手で腰を掴み、余韻もおさまっていないのに先輩が突き上げる。チャプチャプと激しく水が飛び跳ねた。 「っはう……もぉ、ぁっ……ん、ぁあっ! グっ! う、はっぅぅ……せ、んぱ……っは、あつ……い」  突き上げられる衝撃、擦れる内部の摩擦と刺激、立ち込める熱気。内側から発する熱と外部の熱で頭が朦朧とする。  苦しくて、暑くて、キツくて。  俺は先輩の肩にグッと指を立てた。 「ハッ……おまえん中もあちーよ……ドロドロ……とけてる……サイコー」 「やっ、違っ! も……あつい……くらくらすぅ……」 「はは……大丈夫か?」  先輩の動きがピタリと止まった。  「ん、やっ、やめ……な……いで」  辛いと訴えておきながらも、俺の身体は求めてる。無様な自分を隠すように先輩の肩へおでこを埋めた。 「可愛いな……早坂。じゃ、自分で動いてみろ」  その信じられない言葉に、顔を勢いよく上げた。  確かに昨日の俺は自分で先輩へ跨り、自ら飲み込んで、動いた。  でも、今は状況が違う。  煌々と照明は当てられ、立ちこめる葡萄の濃い匂い。白いバスタブの中、血が溶けたようなお湯の中で声をあげ、熱に表情を浮かせながら、腰を振る自分を想像した。  どんだけ野蛮でカルトなんだよ……! 「ふふ……そんな顔もエロいな……」  先輩は気にも止めずに、両手で俺の腰を引き寄せ、また揺すりだす。チャポチャポと水が跳ねる。  その刺激と音に脳がまた蝕まれていく。  俺は眉を寄せ、きっとすごく情けない顔を晒してるんだろう。
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