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「何がいい?」
「んーと、じゃあ炭酸がいいな。ジンジャエールある?」
「おう、ジンジャエールな。あと適当におつまみ買ってく。」
「おいおい、まだ飲む気かよ。大丈夫なのか?」
「へーきへーき。明日は休みだしー。そうだ、明日一緒にどっか遊び行かね?お前も休みだろ?」
「お、いいねー。じゃあ、計画は部屋でな。」
ありがとうございましたー。タクヤは会計を終えたようだ。
「えーと、コンビニの左のマンションの505号室な。」
そう言いながら、タクヤがエレベーターに乗る気配がする。
「そそ、コンビニの左のマンションな。」
「よし、5階ついたー。ピンポーン。」
タクヤがおどけて口で言った。
あれ?おかしい。俺の部屋のすぐ外に来ているはずなのに、電話の中からしか声がしない。
そのとたん、電話から激しい音がした。
ガタン。うわぁ!タクヤの叫び声。
「タクヤ?どした?」
俺は心配になり、タクヤに話しかけた。
「・・・あーごめん。携帯落としたんだ、今。」
「なんだ、そうなのか。」
「スマン、俺、マンション間違えたみたいだわ。どこだっけ?」
「はあ?だからコンビニの左の505だって言ったろ。」
「あ、俺から見て左だと思ったわ。」
「バカだなー。お前。」
505号室の玄関には血まみれの男の死体が転がっている。
その横には見知らぬ女の死体。
「じゃ、今から行くから。」
そして、見知らぬ男は、血まみれの男の物だった携帯に向かってそう言うと、コンビニの左のマンションを目指した。
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