第1章

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私は今、静かな森の中を 犬を連れたある男と歩いている。 深く呼吸すると、肺に入ってくるのは、 いつものあの菌一つない無機質な空気じゃなくて、 沢山の生命が生きていることを感じる、 でもとても澄んでいる、心地の良い空気。 こんなに空気が美味しいと思えたのは産まれて初めて。 自分が生きてるんだって事、今日ようやく実感できたわ。 ひたすら森の中を進んでいる間、 もしこれが森じゃなくて街だったら、 私達は所謂“カップル”に見えるのかしら、 と考えもしたの。 でも、そんなのは所詮、只の幻想なんだけれど。
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