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いくら本人の意志だとわかっていても、ついつい言ってしまう。 「…だからってわざわざ転職までするか?」 圭はもともと大学を卒業してから県外にある広告デザインを手掛ける大手の広告会社に勤ていた。 が、ミヤからの電話で会社をあっさりと辞めた。 そしてこの家から近く、在宅勤務が可能な今の個人の会社へと転職したのだ。 「もともと今の会社から誘われてたんだよ。 そうしたらその後すぐにミヤから電話があったから、そうしただけ。 それに今の方がクライアントが多岐に渡って面白し、妹と一緒に暮らせるし超ハッピー」 相変わらず思考回路の中心が妹の、他人には理解不能の圭の決断力と行動力。 「妹と一緒に暮らすためだけにそこまでするか」 別に非難をするつもりはない。 ただ圭や怜のミヤに対する愛はあの頃からちっとも衰えていない、それたげなのだ。 「僕や怜にとって、ミヤの笑顔を守ることが何よりも優先するべきことなんだよ。 だって仕事は自分判断でいつでも頑張れるけど、ミヤと一緒にいられるのは時間は限られちゃってるから」 そう、圭は濁りのない瞳で笑った。
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