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今じゃこうして仕事の傍ら家事に勤しむ主夫業が板についている圭だが、
今から約8年も前、俺らが高校生だった時の圭は二股三股当たり前の最低のクソ野郎だった。
――と言うより博愛主義の圭にとって自分に向けられる好意を“拒む”理由が見つからなかったらしい。
女の好意をすべて平等に受け入れるかわりに、女同士の修羅場なんて日常茶飯事だった。
もちろん誰一人長続きすることはなかったが、一人だけ粘りを見せた女がいたことは今でも覚えている。
ただやはり半年もせず、その女は公衆の面前で圭に今まで溜まっていた不満と罵詈雑言を浴びせた挙句拳で殴りつけて去っていった。
「そう言えば、新太今年の夏に結婚するんだって」
トントンと小気味良い包丁の音を響かせている圭が思い出したように話し出す。
「新太?……文化祭中に男子小学生に扮してスカート捲りして謹慎くらったアホか」
「それに和史も年内にはパパだって」
「ふーん、ベランダから中庭にいた教頭のズラを釣り上げた和史が父親ねぇ…」
24歳となれば同年代のこうした結婚や子供の話題が耳に入ることが増え始める。
「あ、ちなみに由香里はこの前離婚したって」
…こう言う話題もだ。
もう20代も折り返し、あっという間に30歳だ。
あの頃からは全く想像していなかった現在と、
今から全く想像出来ない10年20年後の未来。
唯一分かるのが何年経ってもこいつ等との関係は切れることがないということだけ。
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