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「――ってことは今の男は怜のお目通りが通った余程いい男なんだな」 絶対あいつなら相手の男を徹底的に調べ上げ、頑固親父みたく殴りつけてそうだが、それに耐えられた男ということだ。 でも圭は何故か俺の言葉に困ったように笑った。 「許す許さないの問題以前に怜はミヤに彼氏がいた事知らないかな」 「…は? 知らないって、お前にはオトコがいると話して怜には話さなかったのか」 なんとなくそれもあり得る気がするが…。 でも俺考えは違ったらしく、圭は首を横に振る。 「まさか。 ミヤは自分から彼氏が出来たなんて僕にも言わないよ」 アレをして、コレをして、アノ話をしてなんて毎日小学校での出来事を事細かに話していた報告魔だったあの頃。 それはもうはるか昔の話らしい。 圭は少しだけ寂しそうに笑う。 「日常的な出来事は今でもよく話してくれるよ。今日だって図書館で面白い本を見つけたって話してくれたしね」 「……オトコが出来たことは話さないってか」 「むしろ兄に自分の恋愛話をする妹のほうが珍しいでしょ?」 圭の言葉に思い当たる節はある。 確かに妹の綾女から一度もそんな話を聞いたこともないし、わざわざ報告をされたこともない。 (寧ろされても困る…) 苦い思いが口の中に広がった。
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