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「俺達も当時は家を出ていたからね。 娘一人を残していくなんて出来ないって母親と揉めていたんたけど、ある日ミヤから電話があってね――」 『圭兄、今すぐ家に帰ってきてよ!海外なんて行きたくない!』 そう泣きついたそうだ。当然怜のところにもだ。 うっとりと、その時のことを思い出しているのだろう。 圭のだらしない顔に苦笑いすら浮かばない。 ただ酒をぶっ掛けたい衝動に駆られたが、……やめておいた。 「――で、すぐに戻ってきたってか?」 話に聞く限り、その当時は二人ともここから少し離れたところに住んでいたそうだ。 「もちろんだよ」 圭はさも当然とばかりに言い切る。 「僕と怜はすぐに此処に戻ることを決めたからミヤが残ることを母親は納得してくれたよ」 俺からすれば完全に兄達の行動パターンを読んでいるミヤの思惑通りに進んだとしか思えないが。
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