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「それに今の生活も気に入ってるんだ」 圭は楽しそうに、レシピ本を捲る。 そして時折何かを隣のノートへとメモをする。 ミヤのお弁当を考えいるんだそうだ。 「会社で時間に追われて仕事をするよりも、発想も自由になれたから仕事の質も上昇中だよ」 「……そりゃ、よかったな」 「怜だってミヤとの休日確保の為に頑張ったら、仕事の効率が上がったんだって。 ミヤの存在が仕事のモチベーションにもなっているんだよね」 「………そう、か」 「それにね、最近ミヤに勧められてレシピブログ開設したんだけどその更新が楽しくてね――」 もう兄じゃなくてオカンの域に達している圭は、いかに主婦が素晴らしいのかを力説する。 もちろん怜がオヤジだが、そんな話はすべて耳からシャットアウトした。 そして俺はすべての言葉を酒と一緒に飲み下した。 「――あ、もうすぐ怜が帰ってくる」 不意に圭がそう呟いて、立ち上がった。 そして圭の食事の用意をするため、キッチンへと向かう。 そしてわずか一分後。 圭の予言通りに怜が帰宅した。 何度見てもこの双子のお互いを察知する能力は不思議で仕方ない。 それでももう見慣れたものだ。 俺は圭を迎えるためソファから立ち上がり、 (今日はまだまだ長い夜になりそうだ) そう、笑った。
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