6人が本棚に入れています
本棚に追加
まさか、ついさっきまでのは心の声か………?
ヤバイぜ
オレが"PTSD"(トラウマ)になりかけてる‥‥!!
「本当に大丈夫?右手が痛むの?」
田渕さんは心配そうに
オレの右手を見ている。
当然彼女に掌は見せない。
本当に優しいんだな、、、
これからオレが言う事を聞いたら
どんな気持ちになるだろうか?
「大丈夫さ!」
強がってみるけど
右手は本当に痛い。
「それならいいんだけど‥‥、、、」
少し困惑しながらも
納得したかのような言葉を
オレに掛けてくる田渕さんだけども、、、
「えっと‥‥‥ちょっとさ、」
「?」
言えよ━━━
━━━━━言わねぇと
━━━━魁人に託された
言葉を伝えなきゃダメだろ!!━━━
『聞いてほしい話があるんだ。』
『…………!!』
山伏君…………?
田渕はその時点で既に予想していた。
『魁人を助けてやれなくてすまなかった。』
その言葉に田渕は驚きながら
『━━━━!!?
う、ううんっ、、、
山伏君は悪くないよ‥‥だって………
必死に戦ってくれたんだから、、、』
と途切れ途切れに言葉を返す。
『必死?━━━━━━
━━━━━それは違う。
オレはただ臆病なだけなんだ。』
俯きながら山伏は田渕に言った。
それだけでも山伏の中には
反省と自責の思いで満たされているのが
伝わってくる。
「そんな事ないよ………、、、」
「いや、違う。
臆病だから自分だけ助かるのに必死で‥‥」
「もういいよ。」
山伏が自分の嘆きを言い出そうと
したところを遮って静止させ、
田渕もまた山伏と同じように
そのまま俯いてしまう。
「もういい‥‥もういいの‥‥、、、
聞いてほしい話って魁人君の事でしょ?」
もう死人のことなんて
どうでもよくなっていた。
もっと言えば人生にも
田渕は絶望してしまっている筈。
「‥‥‥‥!!」
やっぱり分かってるんだ。
もしかしたらオレが言おうとしている
魁人の最期のメッセージも直感的に
感付いているかも知れない。
最初のコメントを投稿しよう!