Chapter-18-New-world-

13/15
前へ
/37ページ
次へ
  確かに死人が大勢いるのを 見たが、魁人が死んだ姿までは 確認していない。 『魁人の"姿"を見てから決めるんだ!! 最後まで諦めちゃダメなんだよっ!!』 「‥‥‥‥‥。」 田渕はゆっくりと 山伏から離れ床に尻餅を着くと 小さな掠れ声で『うん』と頷いた。 眼の滴を両手で掬いながら‥‥‥。 目の前で泣き崩れる田渕は ちょっと触るだけでもあっさりと崩れて しまうほど弱い心で、 山伏はとても申し訳ない気持ちになった。 だが、 しっかりと伝えたぜ?魁人‥‥‥‥!! すると━━━━ ━━━━『雄っ!!』 「な、何だよ?」 突如茜に怒りの混じった声で呼ばれ とりあえず返事をする山伏。 『ちょっとこっちに来て!』 悲劇に見舞われてお涙頂戴の流れ なのが今の状況だと思うが 何故怒りが沸き起こっているのだろうか? 「お前が来いよ‥‥。」 あっさりと突き放すように 正論を言って返す山伏。 『2人で話がしたいの!!』 茜が技術室に来てから ずっと様子がおかしい。 いつも元気で明るい茜が 怒るとこなんて滅多に見せねぇのに。 この現実の仕業なのもあるが茜は何か変だ。 「ハァ‥‥‥。」 山伏はため息を吐いて 椅子から立ち上がり、 渋々茜の元へと向かう事に。 「‥‥‥山伏君。」 そのとてもか細い呼び掛けは 山伏の耳には届かなかった。 『これからどうするの!!?』 あきらか周りに聞こえるほどの 大声でそんな事を言いだした茜。 2人で話したいと言っておいて こんなに声をあげてはここまで オレを呼んだ意味がない。 「近いんだから そんな大声出さなくても‥‥。」 『雄がいつまでものんびりやって やる事決めないからでしょ!! 女の子にデレデレしてる暇ある!?』 怒声が土星まで飛んで行きそうな 勢いで耳に響いてくる。 しまった………。 イヤホンは教室の鞄の中だ………!! 「どちらかと言えば 山伏はデレデレされた側じゃね?」 ノブが客観的に見た 正論を呟くと杉村と王羅に田所までもが 「うんうん」と頷いた。  
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加