Chapter-18-New-world-

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  「オレ達を陥れようとする奴が いるとしたらそいつがウィルスを ここに持ち込んだ張本人だ。」 佐野が俯き様にそう言うと 山伏もまた頷いて 「だろうな‥‥。 この学校から生きて帰さないって 観点から見て言えば、 ましてや『1人』だとしたら なおさら心からでないと攻められない。」 と佐野の考えを捕捉するような返答をした。 「オレはみんなを信じてる。 勿論杉村もノブもお前もな。」 「オレも同じ意見だ。 倒すべき相手は死人ではなく この学校の平穏を覆したそいつだけだ。」 山伏と佐野はその場で 団結の握手をすると、 真っ直ぐな眼で前を向き 自分達の目的を今度ははっきりと意識した。 心身への恐怖ほど 人を強く成長させるモノはない。 その恐怖にまた直面しても いいように耐性ができ、 身体的にも精神的にも人は強くなるのだ。 そしてこの者達もまた成長した。 始めはだらけてばかりで 何事にも危機感を感じず のんびり過ごしていたが、 今は死人1体にでも警戒するほど 過敏に行動している。 それはとても 面倒で以前の彼らなら 絶対に他人任せになるはずだが、 今では自らその面倒事に立ち向かい 仲間のために自分達の身を 危険に晒している。 成長した彼らは もうだらけた眼をしていない ━15:20━ ━━━━━━多目的用校舎3階━━━━━━━       『技術室前廊下』 技術室の重苦しい扉は カギは開いているだろうが 堅く閉じられていた。 直感的にあいつらは ここにまだいると感じ取れるのだが、 生きているのか死んでいるのか 中の状況までは分からない。 下手すれば此方が入った瞬間仕留められる。 「‥‥行くか。」 山伏が覚悟を決めたのか 佐野に同調を求める。 「あぁ。」 2人は扉の両側に配置し 互いに眼で合図を 送り合った。 佐野が窓越しに映らないように 壁側にしゃがみながら 2つある扉のうち手前の扉に手をかける。 もう片方の扉の前には山伏が待機して 佐野が扉を開ける時を静かに待っていた。 『━━━━━━━━ ━━━━━━!!!』 ガラァァッッッ!!! 勢いよく扉が開いた瞬間に 佐野は槍を構え、 山伏は火炎瓶を左手に 持って踏み込む!! しかし その足踏みは入り口付近で 歩みを止めてしまう。
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