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「………当たり前だろ?
こんなとこで死ぬオレじゃないから‥‥
皆と脱出するまでは……って!?」
そこから一気に
ズイと近づいて来た佳奈ちゃんの
顔が目の前に迫る。
と同時に胸元まで広げている
カッターシャツが
谷間を隠さず見せ付けてくる。
「‥‥‥ちょっと佳奈ちゃんっ
近すぎるんじゃないっ…?」
茜がぐいと佳奈ちゃんの肩を
引っ張りながらそう言った。
どこか怒りが沸いているような
言い方だったが、
オレが女の子にくっ付かれるのが
苦手だと言うことを分かって
止めてくれたのだろう。
と思うことにした。
すると、
「おいおい、
見せ付けてくれんなぁ山伏」
ノブがちょっかいを掛けるように
遠くから声を掛けてきた。
他の皆もなんだ?なんだ?と
此方を見てくる。
『なっ!!?』
山伏はそんな声をあげて
瞬時に立ち上がった。
如何にもその場から
逃げたくて仕方ないようだ。
「‥‥チャラ男」
更に杉村がそんな山伏の心を
煽るような一事を言うと
「どうせなら他所で
やってくれないかな………?」
と崎も不満を溢す。
不機嫌な顔で山伏に対して
不満や嫉妬混じりの視線をぶつける崎や杉村とは違って
「は‥‥恥ずかしいよっ」
田渕だけは清純な女の子らしく
顔を真っ赤にして反論した。
『えっ!?いやっ
今のはこの子が勝手に!!』
そして山伏も山伏で
誤解を解こうと杉村達の方へと
向かおうとするが
『うっせー!此方来んな!
こんな時でも女を引き寄せやがって!
イケメンオーラ出すの止めろ!』
とノブが躍起になって
反発の意思を露にした。
『何だよイケメンオーラって!?』
「あっ‥‥‥」
山伏は今の状況から逃げるために
ノブ達の方へと向かって説明会を開くが
残された佳奈はがっくりと肩を落とした。
皆には今起きた出来事を
必死に否定する言葉を並べるが、
あんなに迫ってきた状況に
納得の行く言い訳なんてねぇよなぁ、、、
「‥‥‥‥━━━━━
━━━━━━ふぅん、、、
茜さん、山伏先輩のことが
好きだったんだ……、、、」
ぼそりと小さな声でそう呟く佳奈。
内側に秘める想いが茜と
対立していると自覚した瞬間だった。
「佳奈ちゃん………?」
複雑な表情の茜と
悲観の顔を浮かべる佳奈の目が合い、
何かの前触れが起きた瞬間だった。
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