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①
『ハロー! ヒカル、どうしたの?
そんな暗い声をだして。事故の処理に手間取ってるの?』
「メアリー、相談があるんだ。
エージェントのロイに契約金をあげるよう頼んでほしい」
『あげるってどこまで?』
「少なくても100万ドル」
『クレイジー! 気は確か?
あなたはまだ無名の新人に過ぎないのよ』
「わかってる。だけど、どうしてもカネが必要なんだ」
『どうやらタチの悪いひとにぶつかってしまったようね。
OK! わかったわ。とにかく帰ってきなさい。
こちらには事故処理のプロもいるから、そのひとたちにすべてをまかせるの。
いい、わかったわね』
「ダメだ。それはできない」
『ヒカル!』
「しばらくは帰れない。メアリー、もう、ぼくのことは放っておいてくれ」
『ちょっと待って、ヒカル、あなた、まさか--』
瀬名は一方的に通話を打ち切り、電源をきった。
こうなったら、いまの自分にできることを探るしかないのだ。
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