第1章 最悪の出会い

3/13
前へ
/89ページ
次へ
   ②  再び目が覚めたときは、ベッドの上だった。  白い天井、白い壁……。  ここが病室であることは間違いない。 「あっ、姉ちゃんが気づいた!」  弟の諭(さとし)の声が響いた。  ベッドの傍らに母の静江とともに身を乗り出している。 「諭……お母さん……」 「七海、大丈夫かい?」  母は目を潤ませて七海の額をそっと撫でた。 「だいじょう……ぶ…」  と言おうとして、七海は身を起こそうとした。  しかし……  体が動かない。 「ああっ、寝てなきゃダメだよ! 絶対安静だってお医者さんがいってた」  諭が慌てて七海の肩を押さえつける。 「脊髄と腰椎の一部が損傷してるんだって」  母が涙声で症状を告げた。  伏し目がちなその様子から、相当な重症を背負ってしまったことを七海は自覚するのであった。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加