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②
再び目が覚めたときは、ベッドの上だった。
白い天井、白い壁……。
ここが病室であることは間違いない。
「あっ、姉ちゃんが気づいた!」
弟の諭(さとし)の声が響いた。
ベッドの傍らに母の静江とともに身を乗り出している。
「諭……お母さん……」
「七海、大丈夫かい?」
母は目を潤ませて七海の額をそっと撫でた。
「だいじょう……ぶ…」
と言おうとして、七海は身を起こそうとした。
しかし……
体が動かない。
「ああっ、寝てなきゃダメだよ! 絶対安静だってお医者さんがいってた」
諭が慌てて七海の肩を押さえつける。
「脊髄と腰椎の一部が損傷してるんだって」
母が涙声で症状を告げた。
伏し目がちなその様子から、相当な重症を背負ってしまったことを七海は自覚するのであった。
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