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④
スゲーひとにはねられた?
なにをいってるんだろう、このコは?
七海は紅潮した弟の顔をまじまじと見つめた。
弟の諭は17歳。東京都内の都立高校に通う高校2年生だ。
部活は野球部に所属してレギュラー入りを目指している。
が、いまだにベンチ入りさえできていない応援のスタンド要員。
その弟の顔が興奮して輝いている。
野球大好きの諭のことだ、もしかして……
そのときだ、ノックの音がして、スライド式の病室のドアが開いた。
背の高い男のひとが背中を丸めて入ってくる。
そうだ、このひとだ! あたしを『白い馬車』ではねた王子様。
「よかった。気がついたんですね」
王子様は七海の顔をみるなり、安堵の笑みを浮かべ、そして勢いよく頭を下げた。
「このたびは本当に申し訳ございません!!」
ひざに額がくっつく。
体がやわらかく、腰のところできれいにふたつに折れている。
やっぱり……
七海は確信した。
このひとはアスリートだ。
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