プロローグ

10/15
前へ
/158ページ
次へ
「なんかー、北原先輩が店の方から泣きながら出て来てー、なんだろうと思ってたら、ちょっと時間開けてから店長が出て来た」 「うっそ、なにそれ!」 「てかさ、北原先輩の前に辞めた太田先輩も、フラれて辞めたって噂だよ」 「まじか!」  一体どれだけモテるんだろう。  そして、今までどれだけの女の子を振ってきたのだろう……。  マスターのあまりの鉄壁さ加減に三人は言葉を失った。  しばしの沈黙の後、最初に開口したのは風奈だった。 「……てかさ、そこまで堅いって、逆に気になんない?」  その言葉に、日向も口元にニヤリと怪しげな笑みを浮かべた。  風奈と日向、二人の目線がカチリと合った。 「……やってみちゃう?」 「よし!決定!」 「何掛ける?」 「美味しいものがいいなー」 「オッケー」  二人は片手を挙げて、意気投合したみたいにパチンと手を合わせた。 「あのう、何をやるんですか?」
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加