プロローグ

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――その日、カフェ・ルーシーの様子はいつもとちょっぴり違っていた。  カランカラン……  いつものようにドアベルが軽やかな声を鳴らし、お客さんがやって来た。 「やあ、ゴードン。いつもの、頼むよ」 「ああ、星田さん、いらっしゃい」  常連客の星田さんに、マスターはにっこりと微笑んだ。  “ゴードン”というのは、マスターのニックネームだ。  少し彫りが深く、外国の紳士のようにも見えるマスターを、常連客達は親しみをこめてそう呼ぶ。 「おーい、誰か、コーヒーを運んでくれないか?」 「「「はーい!」」」  マスターが声を掛けると、三人のウエイトレスが一斉に返事をした。
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