20人が本棚に入れています
本棚に追加
――その日、カフェ・ルーシーの様子はいつもとちょっぴり違っていた。
カランカラン……
いつものようにドアベルが軽やかな声を鳴らし、お客さんがやって来た。
「やあ、ゴードン。いつもの、頼むよ」
「ああ、星田さん、いらっしゃい」
常連客の星田さんに、マスターはにっこりと微笑んだ。
“ゴードン”というのは、マスターのニックネームだ。
少し彫りが深く、外国の紳士のようにも見えるマスターを、常連客達は親しみをこめてそう呼ぶ。
「おーい、誰か、コーヒーを運んでくれないか?」
「「「はーい!」」」
マスターが声を掛けると、三人のウエイトレスが一斉に返事をした。
最初のコメントを投稿しよう!