プロローグ

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――それは何気ない会話の、些細な一言から始まった。 「マスターってさ、イケメンじゃない?」  草野風奈(くさの ふうな)がぽつりと言った一言に、木戸日向(きど ひなた)は同調した。 「あー、分かる!激シブだよね」  店の二階にある更衣室で、バイト終わりに着替えている時だった。  彼らはこのカフェのウエイトレス。  ド派手な金色に染めたウェーブがかったロングヘアーに、Gカップの目立つ胸を持つ女の子が風奈。  黒髪ロング、シュッと切れ長な瞳にスタイル抜群のスレンダーなクールビューティーが日向だ。 「“ゴードン”って、ホントぴったりなニックネームじゃない?」  日向は白いエプロンを外し、ロッカーに仕舞いながら言った。 「うん、ちょいワルってよりは上品な感じだし、ちょっと彫り深めで外人みたい」 「それに、優しいよね。ほら、この前あたしが皿割っちゃった時もさ、……」
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