キンモクセイ

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僕が彼女に出会ったのは半年以上前。 僕の学校は図書室利用者が少ない。 そのため、図書室は係の生徒が交代で管理する。 仕事内容は本の貸出や返却の受付と、本の整理や傷んでいないかのチェック。 さっきも言ったように利用者は少ないため、それほど難しい作業はない。 逆を言えば、ヒマで仕方がないということ。 だから図書室の管理の係になりたいものなど少ない。 僕みたいなやつを除けば。 周りのやつに“クール”や“一匹狼”などと言われている僕だが、実際にはただ煩いのが好きじゃないだけ。 そのためもちろん部活なんか入っていない。 そうなれば放課後すぐに家に帰ることになるが、正直帰ってもすることなどないからヒマ。 だから図書室管理の係になったのは、本が好きというより、ヒマつぶしが出来る静かな場所が欲しかっただけ。 そうして進んで自ら図書室管理の係になった高校1年春。 利用者なんてめったに来ないと教師から聞いていたため、悠々自適に過ごせると喜んでいた。 しかしそんな僕の前に、彼女は現れた。
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