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「なぁ、この国について書いてある本ってある?」
「ないことはないが・・・本当に何も知らねぇんだな」
「悪かったな」
俺は与えられた部屋で、ヤタを膝の上に乗せながら書物をねだった。
この世界の常識にヤタガラスについて色々知らないと何もできないしな。
あ、言葉は通じるけど字がどうなってるんだろ。
日本語じゃあないよな・・・
マジで覚えることが多いかも。
「後で書館に案内してやる。先に飯だ」
「ありがとう」
「ああ」
ゲオルグは廊下にいる兵士に昼食を持って来るよう指示したあと、机の上に置いてある書類に目を通していく。
無言で処理をしていくゲオルグの姿を俺とヤタは黙って見続ける。
昨日のやつ・・・何だったんだろう?
俺は昨日のキスを考えた。
何で俺にしたんだ?
ヤタも平然としてるし、この世界ではキスは大したことじゃないのか?
今朝だってそうだったし・・・。
俺は今朝の出来事を思いだす。
昨日の疲れのせいか、ベットが良すぎたせいなのか俺は不覚にも熟睡してしまった。
日が昇るのと同じに目を覚ました俺の視界に入ったのは、同じく熟睡しているゲオルグの寝顔だった。
「・・・・」
「スー・・・スー・・・」
「・・・マジか」
良く敵視している奴が隣にいるのに寝れるよな。
俺も人のことは全く言えないがな。
まぁ、ふかふかで寝心地が最高のベットでは睡魔に勝てないか。
隣を見ればヤタも気持ち良さそうに寝ている。
まだ鳥たちが朝鳴きする時間帯。
起きても何もできないし、もうひと眠りでもするか。
「何だ。まだ寝るのか」
「!?」
二度寝をしようとした瞬間、第3者の声に驚いてしまった。
声の方に向けば、ゲオルグの目と合った。
いつから起きていたんだよ。
「お、おはよう?」
「ああ」
挨拶をすれば、素っ気ないが返事を返してくれた。
ゲオルグはベットから出ると着替え始める。
「もう起きるのかよ」
「腹が減った、飯にする」
短い会話をしている間に、着替え終わっていた。
「おい、ボーっとしてねぇで着替えろ」
そう言うなり服を投げ渡された。
渡された衣装はゲオルグと同じ赤色で、タキシードみたいなデザインだった。
「さっさと着替えろ、その服だと目立つからな」
「あ、うん」
確かにこの世界で制服は目立つな。
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