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俺こと櫻井 透は、トラック衝突事故によってまさかの異世界に迷い込んだ。
屈辱な日々を送っていた俺に、異世界で待ち構えていたのは黒髪への差別と殺意だった。
「貴様たちはここで寝食をしてもらう。勝手なマネをすれば、その首を切り落とされることを忘れるな」
話が終わった後、俺とヤタは兵士たちに部屋まで案内される。
案内された所は綺麗な装飾を施された大きい部屋だった。
俺的には豪華すぎる部屋に圧倒され部屋を眺め続けてしまう。
「何をしている、さっさと入れ!」
「あ、はい。ありがとうございまた」
「何でヤタガラスなんかに客室を与えなければならないんだ・・・」
「牢で充分だろうに」
聞こえるようワザと大きく悪態を吐く兵士たちは、軽蔑な視線を送りながら去って行った。
確かにかに俺は贅沢過ぎる部屋だな。
大人3人が余裕で寝れるベットはふかふか、机の上には豪華な果物の盛り合わせに天井には細かなシャンデリアが付いている。
まるでホテルのVIPルームで宿泊のような感覚だ。
「お、お兄ちゃん。ベットが凄いふかふかだよ!」
兵士がいなくなると、俺の後ろに隠れていたヤタは顔を出し目を輝かせた。
初めて見る豪華な部屋に興奮を抑えられなくなったのかベットへと飛び込んで行った。
ベットではしゃぐヤタの姿に、俺は不覚にも和んでしまった。
「おいおい、ベットは寝るところであって遊ぶ場所じゃないぞ」
「は、はぁい!」
いい返事をするくせにベットの弾力で遊び続けるヤタに、わかってないだろ。と言いながら笑ってしまう。
「まだ子供だもんな。あんな大きいベットがあったら誰でもはしゃぐか」
「俺にはあんな小せぇベットで、はしゃげるのか理解できねぇな」
「!!?」
突然の第3者の声に、俺は驚いてしまう。
声の方に振り向くと、赤の皇帝が壁にもたれかかっていた。
さっきまで着ていた軍人っぽい服から、シャツと黒のズボンの姿になっている。
つかあんた、いつ入って来てたんだよ!?
ヤタも赤の皇帝に気が付くとそそくさとおれの後ろへと隠れる。
「何をそんなに驚いていんだ? 言っただろ、お目付役は俺だってな」
「俺が驚いていたのは、あんたがいつの間にか部屋にいたからだよ」
「仮にも皇帝に“あんた”呼ばわりとは、お前命知らずの馬鹿なのか?」
「し、仕方ないだろ! 俺、あんたの名前知らないし」
俺がそう言うと赤の皇帝は、驚いたのか目を大きく見開いていた。
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