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「はぁ、コイツ何も知らねぇのか。良く今まで生きて来られたな」
人を馬鹿にしたような言い方をする赤の皇帝に腹がたつ。
こっちはヤタガラスどころかこの世界事態がわからねぇっての!
何も知らなくて悪かったな!
「今から500年も前の話になる」
俺が赤の皇帝に睨み続けていると、青の皇帝が語り出した。
「その当時、魔女と呼ばれる女がいた。魔女は民たちのために病に効く薬や災いを防ぐ札などを作る心優しい方だったらしい」
「だが、年をとるたび魔女はだんだん変貌していったんだ」
赤の皇帝が途中から語り出してきた。
別にあんたから聞きたいと思っていないんだけどな。
まぁ、知りたいから聞くけどさ。
「魔女は美しさばかりを求めるようになり、遂には狂った思想を持つようになった」
「思想?」
「美しい顔を持つ人間の生き血を飲み続けると美しくなる。と、信じ込んだんだよ」
「げっ」
美しい奴の血を飲むって何て思想だよ!
そんなんで綺麗なれたら世の中の女子は美容で苦労しないだろうな。
「それから魔女は綺麗な人間を捕まえては血を飲み続けたが、自分が美しくなるわけはなかった」
まぁ、当たり前だよな。
顔の構造は血でできるわけないし。
「狂った魔女は血が足りないと、更なる血を求め使者を作る事にした」
「使者? 魔女以外にもそんな思想を信じる奴がいたのか?」
「今から教えてやるって言っているんだ。黙って聞いてろ」
だから俺はあんたから聞きたいとは一言も言ってねぇっての!
俺が内心で言ってることを知らない赤の皇帝は続きを話し出す。
「魔女は使者を作るため、村人たちに風邪に効く薬だと言って渡していたものがある。それが当時まだ生存していたヤタガラスの肉だ」
「ヤタガラス・・・」
「ヤタガラスってのは足が3本あった生き物で、下手したら人間より智能を持つカラスだったかもしれない。そして魔女の使役だった」
「・・・・」
「薬を飲んだ人間はヤタガラスに支配され綺麗な人間を捕まえては献上し、魔女はより多くの血を得る事ができた。だが、村の異変に気がついた当時の皇帝が魔女を捕らえ火刑にしたことにより、これは終わった・・・かのように見えた」
「見えたって・・・」
「魔女が死んだからといって薬を飲んだ人間がヤタガラスの支配から解放されるわけではない。それどころか魔女がいなくなったことにより事態は悪い方向に行った」
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