265人が本棚に入れています
本棚に追加
都立清涼高校に勤める鈴宮一貴が担任する2年D組には奇妙な生徒が一人いた。
名門と言えないまでも上から数えた方が早い県下屈指の高校。黒髪に制服をきちんと着こなした聞き分けの良さそうな生徒集団の中で、生まれたてのヒヨコのような金髪頭が浮きまくっている、如月零だ。
制服を着崩し、指定されたタイではなく、どこぞの男物のネクタイを緩めて締めるヤ○キースタイル。そのくせ顔には大振りの黒ぶち眼鏡をかけたりして、何処を目指しているのかさっぱり分からない女生徒。
当然と言えば当然のごとく、周囲は恐る恐る一線を置き、腫れ物に触るように彼女を避けた。
これは教師陣も同様で、そんなナリでありながらも可もなく不可もない成績をキープし続ける彼女に好んで近づき、指導しようという者はいなかった。
非行に走るでもなく、何かに逆らうでも無く、ただ浮いている。そういう不自然な生き物が、如月零であった。
最初のコメントを投稿しよう!