秘密。

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 疾風と友美、そして二人と仲の良いインパルスのレギュラー陣に限らず余程世の中に無関心でもない限り、数ヶ月前に発生し未だ解決を見ていない事件… 遊月瑠璃香(ユウヅキ=ルリカ)ちゃん誘拐事件は既に大半の人の知る処となっている。 言わば被害者である筈の遊月一家が何故、疾風の曾祖父とお付きのじいなる人物の怒りを買う可能性… 否、危険性があるのかと言えば、極々一部の人にしか分からないとはいえれっきとした理由が存在するのだ。  疾風の曾祖父もお付きのじいも若い頃からよく知っている一式翁曰わく、遊月父はぶぶづけ参謀本橋啓吾と同類で遊月母は及川サト若しくは内岡美奈子と同類。 そして、遊月瑠璃は悪く言えばトラノウマコの同類で、もっと悪く言えば及川悟の女版とのことである。 一式翁の言葉によれば、遊月一家の三人と先述の三人は外面ばかりが良く陰では一人の人間を当たり前のように散々虐げ続けていたという点に於いて、まるで身内であるかのようにピタリと一致しているとの事であった。 そんな実情を疾風の曾祖父とお付きのじいなる人物そしてその善き仲間たちが知ってしまったら、どれだけ楽観的尚且つ脳天気な見方をしようと、疾風も友美も彼等が何もせずに黙っているとだけはどうしても思えないのだ。 「タンメーもマジギレ五分前だもんな…」 「無理もないよ… うちらだってそうなんだもん。 如月茜ちゃんて女の子、つい最近まで遊月一家から昔のタンメーみたいな目に遭わされていたんだもんね…」
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