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十三はそう言って苦笑すると、摩耶の皿に福神漬けの小山を築く。
大きな窓の遙か下には、三複線を往来する伝統のマルーンも鮮やかな阪急電車たちの姿が見えた。
「せや十ちゃん。
その茜ちゃんて女の子、カワジュウ(川崎重工業)か三菱の見学に招待したげるのはどやろ?」
「友ちゃんとはちゃうて摩耶姉ちゃん…
それに、もう友ちゃんと疾風君が動いとうさかいに、カワジュウと三菱の見学は次のお楽しみにしたげんのはどやろ?」
「せやね…
せっかくやから観艦式もつけたげたいし…」
その招待状はプラチナチケットと表しても過言ではない観艦式を捕まえて観艦式
も
とはご挨拶だが、現役の海自幹部である摩耶にしてみれば観艦式の招待状入手はそんなに難しい事でもない様子である。
そして摩耶と十三の友人知人の中には、川崎重工業或いは三菱重工業に勤める人も少なくないのだ。
「せや摩耶姉ちゃん。
茜ちゃんを正雀のP6と900形に乗せたげんのはどやろ?
どっちも乗りたくてもおいそれとは乗れへん車輌やで?」
「そっちこそ友美ちゃんとはちゃうて十ちゃん…」
十三の言葉にそう言って苦笑した摩耶だが、何故十三がそんな事を口にしたのかは本人の次に分かっている。
彼も摩耶と同様に、茜ちゃんなる女の子を、何としてでも元気付けたいのだ。
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