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中学生ぐらいの女の子がいた。
絵本に出てきそうなロッキングチェアの腰かけ。ぎいぎいと揺れている。
火のついた葉巻を指でもてあそんでいて、服装はいかにもハロウィンといった感じ。ではなく、真っ白なドレス。
さてどうしようか?
おれたちが何の計画もなくここに飛び込んできたのが今になってわかった。
この様子から見てこの女の子がこのハロウィンパーティの首謀者であることはまず間違いないだろう(たぶん)。
とりあえず、このままだと名古屋が大変なことになることを伝えパーティを終わらせないといけない。
階段を踏み外さないように慎重にステージに近づいていく。
ステージの近くまで行くと、女の子が手にしていた葉巻を吸いぷかっと煙を吐くとその煙が俺らの元へ向かい。俺たちを包み込んだ。
煙で目が染み、目を閉じ開けた時には、女の子が目の前にいた。
人生初の瞬間移動に、驚き後ろに跳び下がる。だが場所が悪かった。後ろに優斗がいて、下敷きにしてしまった。
「いたーい」
涙目で訴える優斗。
「すまん」
謝るしかできないオレ。
女の子はそんなおれたちがどうやらツボにはまったのか。腹を抱えて笑い始めた。
その後。
オレはこのままだと昭和区が壊滅することを手短に話した。
すると女の子は、ふむ。と唇に手をあて。
「そろそろ潮時だと思っていたし、ま。ちょうどいいかな」
といった。
とりあえず最悪の事態はさけられそうだ。ほっと胸をなでおろす。
「どうしてこんなことしてるの?」
優斗が女の子に尋ねる。
「心外ね。善意でやっていることなのに。公園に集まっている人たちはね。ハロウィンなのに仕事とか。ヒマだけどパーティの予定もはいっていない気の毒な人たちだけなの。そんな可愛そうな人たちの為に用意したんだけどね」
「じゃあここにいる人たちは」
「ん?駅にいたハロウィンを楽しめない人たちね。せっかくのお祭りなのに、仕事で楽しめない。とか楽しみたいけどプライドが邪魔して楽しめない。そんなかわいそうな人たちよ。どうせ家に帰ってもヒマでしょうから。ちょっと体と心にたまった邪気を借りたの」
「楽しみたいのに楽しまないのも、罪なもんだね」
「まっそういうこと。あなたも気をつけてね」
少しの間沈黙がおりた。
「さっそくだけどこの魔法……っいうのか解いてもらっていいかな?」
「そうね」
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