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「いい天気だね、リク」
今日の私は最高に機嫌がいい。
飛び立つ鳩すら
私を祝福してくれてるかのように思えてしまう。
「……私はリクを殺したりしないからね」
「……見つけた」
男の声に振り返ると、
別の高校の制服を着た男が立っていた。
「おまえだろ、……ミリカを殺したの」
ドスのきいた低い声。
血走った目。
ミリカ……昨日死んだ、大っ嫌いな女。
確かに私はミリカを呪った。
だってあの女は、
私から大好きなコウセイを奪ったんだもの!
でも、死んだのは事故だって。
事故、だって……!
「死ねよ、おまえ」
男の手が私の首に掛かる。
薄れいく意識の中で確信した。
……これが代償なのだと。
あの呪いは成就した後、
供物を捧げなくてはいけない。
それは自分の大事なもの。
もちろんペットを含む。
足下で吠え続けるリクをちらり。
私はリクを捧げなかった。
だから――。
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