急転直下のおっぱいマジック #2

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急転直下のおっぱいマジック #2

夕刻、俺は一人で帰路に就いていた。 後藤先生の言葉が、チクチクと胸に突き刺さる。 男にとって女性のおっぱいが素晴らしいものであると同時に、女性にとってもおっぱいは大切なものなのだ。 おっぱいを愛するなら、おっぱいを愛でたいなら、守らなくてはならない。 今朝のクランちゃんのように、今もどこかでおっぱいが危機に陥っている。 それを考えると、どうしようもない切なさと情熱が沸きあがるのを感じるのだ。 守りたい、守らなければならない。 おっぱいを。 おっっっっぱいを! 「ん?」 不意に、見覚えのある人物を見つけて足を止める。 そこにいたのは、俺達を目の敵にする会長、一橋涼子先輩。 偶然見かけた会長は何やら、思い詰めた様子で俯いたまま歩いていた。 確か会長は、企業面接に行っていたはずだ。 一体どうしたというのだろう……? 気になり、後をつけてみる。 ――会長には、誰にも告げていない秘密があることを知っている。 それに気付いているのは俺だけだろう。 それが何か関係して、会長が落ち込んでいるのだろうか? ならば、放ってはおけない。 会長が、心から自分のおっぱいを愛せるように。 俺が導いてやらなければならないのだ。 そう、手遅れにならない内に。 そんなことを考えている内に、会長が怪しげな廃ビルに入って行くのが見えた。 慌てて後を追うと、鼻をつくのは、むせかえるような錆と汚水の臭い。 そんなビルの老朽化した階段を、会長は登っていく。 歩くたびにギシギシと音を立ててしまう階段で、俺の尾行に気づかないとは、本格的に思い詰めているのだろう。 ヤバイ。非常に嫌な予感がする。 そうやって、五階くらいは登っただろうか。 やがてたどり着いた場所は屋上。 老朽化して錆び付き、もはやその役目を果たしていないフェンスを掴んで引きはずし、会長がビルの縁に立つ。 って、やっぱりかよおい!! 「会長! はやまるな!」 「――白井君!?」 満を持して放った渾身の声に、会長がようやく俺に気付く。 「会長、君のおっぱいは泣いているぞぉッ!!」 唖然とする会長に、俺は更に言葉を放つ。 ――絶対に死なせはしない!  
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