2344人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
運転席とは反対側に顔を向けて、車窓から流れる景色を眺める。
既に日は落ち、辺りは薄らと暗闇に包まれていた。
ポツンポツンと灯る街灯。
車を走らせるうちにその景色はだんだんと華やかになり、街のざわめきが車の中まで聞こえてくるような気がした。
「ずいぶん仲良くなったんだね」
赤信号で車を停止させた神崎くんが呟く。
「そうね」
誰のことを言っているのかなんて聞かなくても分かったから、簡単に答え、膝の上に乗せたバスケットに視線を落とす。
サンドイッチに使ったパンの香ばしい香り。
調理を手伝う私の不器用さに呆れた竹さんの顔を思い出し、ふと顔が緩んだ。
最初のコメントを投稿しよう!