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「あ、坂崎さん、涼さん」
「おつかれー。打ち合わせだって?」
「僕だけ呼び出されましたよー玉城さん人使い荒いから」
「アイツはやり手だからな」
「でも今日は私が同席します。よろしくお願いします」
「え? そうなの、涼さん、よろしく」
坂崎さんと別れ、ミーティングルームに向かう。
その間に、昨日のケーキのお礼を伝える。
「気に入ってくれたら、また差し入れするよ」
「そんなお気遣い、いいですよ。すみませんでした。醜態さらして」
「醜態なんて、恋愛にはいくらでもある。むしろ、僕にそれを見せてくれたってことの方が嬉しい」
「廣瀬さん…」
「だから、カオル。カオルって呼んで下さいって言ってるじゃないですか」
「か、カオルさん」
「もう呼び捨てでもいいのに…、まあ下の名前呼んでくれただけ進展あったとするかー」
爽やかに笑い飛ばすカオルさんに、こんな一面があったのかと驚く。
苦手だと毛嫌いしていたことを少し悪かったと後悔する。
つい最初の出会いが最悪だっただけに、カオルさんには警戒心が働いてしまう。
でもそれが今はだいぶなくなっているのに、私は気づかない振りをしていた。
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