第11章 特効薬は、極上のサプライズ

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「親父さんからメールがきてるだろ?開いて添付画像見てみろ。それが答えだ」 何言ってんだろうと思いながら父親からのメールを確認した私の手が震えた。 「うそ……何……これ?」 「そういう事だ」とニヤける一輝の顔とスマホの画面を何度も見返す。だって、そのメールは…… 《無事入籍完了!これで蛍子と一輝はめでたく夫婦だよ~!》だったから。 そして《ワシとママも入籍しちゃったよ~ヤッホー!》というふざけた文章。 で、2枚の婚姻届を持ちピースサインしてる間抜けな顔の父親と、その横で苦笑いしてるママの写メが添付されていた。 「結婚って……私、婚姻届なんて書いてないよ。なんで一輝と入籍した事になってんのよ?」 一輝が運転中だという事も忘れ掴み掛ると、車が大きく左右に揺れ、危うく中央分離帯に接触するところだった。 「このバカ!借り物なんだぞ!」 でも今の私は、車がヘコもうが大破しようが、そんな事どうでもいい。なぜ書いた覚えのない婚姻届が提出されたのか、その訳が知りたかった。 「お前、書いただろ?婚姻届」 「そんなの記憶にない。いつ?どこで書いたのよ?」 「10年前、俺達が1回目の結婚する時。お前は納得いかないって、何度も書き直してたろ?親父さんはそれを記念に大事に持ってたんだ」 「うそ……あの時にボツにしたやつを?」 「ちゃんとお前が署名捺印した婚姻届だ。俺はその婚姻届の存在を知ってたから慌ててママに電話して、それを提出しといてくれって頼んだんだ」 これこそが、最大のサブライズだった―――
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