4#魔が差したキィオ

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 ぐるる・・・  きゅるる・・・  「お腹すいた・・・腹へった・・・」  野良犬のキィオは、お腹と背中がくっつく位に痩せこけた身体からの腹の虫をこらえながら、ヨタヨタと歩いていた。  どこの生ゴミ置場も厳重に『対策』され、キィオが最近食べた物とは、肉と間違えたタイヤの切れ端位だった。  とぼとぼとぼとぼとぼとぼ・・・  キィオはあれから、あの赤い大きなセッター犬のアヴとはめっきり逢ってなかった。  しかし、キィオには  「あいつにまた逢いたい!!」  という気持ちより、  「今すぐ何か食べたい!!」  という、欲求不満で頭はいっぱいだった。  「食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・  食いたい・・・」  ぐるるる・・・  きゅるる・・・  くんくん・・・  空腹のキィオの鼻の中に、美味しい匂いが入り込んできた。  「お肉の匂い!!」  じゅーじゅー。  何処かで焼肉を焼いている。  くんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくん・・・  キィオが鼻の孔をパンパンにしてクンカクンカと嗅いで歩いていく度に、香ばしい焼肉の匂いが近づいてくる。  くんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくん・・・
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