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よたっ・・・よたっ・・・よたっ・・・よたっ・・・
キィオは無事だった。
キィオは、スーパーの店員に執拗に暴行を受けた身体の痛みを堪えながら、びっこを引いて歩いた。
す
・・・あの時、優しい女の子が庇って来なければ自分は保健所に連れられて、ガス室行きになってたな・・・
・・・そういえば、あの女の子見覚えあるなあ・・・
・・・自分を誤って、自転車で轢きそうになったあの女の子だ・・・
キィオは、その女の子の『償い』に救われたことが解ると、心の中にある疑念が湧いてきた。
・・・それにしても、あいつ・・・赤い犬・・・
・・・余計なこと自分に教えなきゃ、自分はこんな目に逢わなかった筈だ・・・!!
・・・ちくしょう・・・!!
・・・ちくしょう・・・!!
・・・噛みついてやる・・・!!
・・・噛みついてやるだけでは済まないな・・・
キィオは、逆恨みのような赤い犬への恨みに駆られていた。
・・・あいつはどこだ・・・?
・・・あいつには只ではおかない・・・
キィオは、赤い犬の居そうな場所をくまなく探し回った。
会話を交わした空き地、
一緒にはしゃいで遊んだ公園、
あの産業地帯の寂れた駐車場、
いつか一緒に見に行ったショッピングセンターの中にあるツバメの巣の下、
一緒に食い物を探した生ゴミ置き場・・・
どこにも、あの赤い大きな犬は居なかった。
・・・どこだ・・・?
・・・どこにいるんだ・・・?
キィオは、クンクンと鼻で辺りに漂ってる筈のあの赤い大きな犬の匂いを嗅いでも、何もその気配さえ解らず、段々心配になってきた。
・・・そうだな・・・
・・・あいつに悪いこと考えてたな・・・
・・・あの『穴場』に行って酷い目に逢ったのは、自分の自己責任だし・・・
・・・現に、あいつは自分が自転車に轢かれるとこを助けてくれたし、一緒に遊んでくれたし・・・
・・・馴れ馴れしいとこはあるけど、あいつの『孤独』を解ってあげてないのは、自分もそうじゃないのか・・・?!
・・・ちくしょう・・・!!
・・・ちくしょう・・・!!
・・・逢いたい・・・
・・・逢いたい・・・!!
・・・あいつにまた逢いたい・・・!!
・・・もっとあいつと話したいし、もっと、あいつと遊びたい・・・!!
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