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「♪♪♪♪♪♪」
野良ビーグル犬のキィオは、鼻歌混じりで用水路の川沿いの歩道を、ルンルン気分で歩いていた。
ざぁーーーーーっ!!
川に掛かる橋の向こうから、1台のママチャリが猛スピードで走ってきた。
「♪♪♪♪♪♪」
ざぁーーーーーっ!!
「♪♪♪♪♪♪」
ざぁーーーーーっ!!
「♪♪♪♪♪♪」
ざぁーーーーーっ!!
「危ないーーーーーーっ!!」
ばぁっ!!
空き地の草葉の陰から、くすんだ真っ赤な閃光が飛び出してきた。
ばくっ!!
その赤い巨大な閃光は、上の空の野良犬のキィオの首筋をくわえると、間一髪!!
ざぁーーーーーっ・・・
ママチャリのタイヤがキィオの胴体スレスレを通って、そのまま去っていった。
ドサッ!!
その赤い閃光と野良犬のキィオは、草原の中に倒れ込んだ。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!危ないとこを救ってくれてありがとうございます!!つい、うっかりしていました!!何処の誰だか判りませんが、どうもありがとうございます!!」
とっさのことで気が動転したキィオは、取り乱して何度も何度もしつこく土下座して謝った。
ハッハッハッハッハッハッ!!
キィオを助けた相手は、舌を垂らしてハッハッと息をしながらニッコリとキィオを見つめていた。
すると・・・
ばっ!!
「?!」
「あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!耳は垂れ下がってるーーー!!!僕も垂れ下がってるよーーーー!!!あははは!!愉快!!愉快!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!あそぼ!!」
助けた相手は、いきなりキィオに飛びかかってくるやいなや、抱きついてきて狂ったようにはしゃぎまわった。
「うわっ!!でかいっ!!苦しいっ!!重いっ!!だっ!だあれっ!?君は!?」
「ぼく?ぼくぼくぼくぼく!!!『アヴ』って言うんだ!!アイリッシュセッターだよ!!ビーグル犬さん!!」
「自分は・・・『体』はビーグル犬だけど・・・!!本当は・・・」
「ぼく!!ぼく!!ぼく!!ぼく!!の名前は知ってるーーー!!」
「な、い、いきなりやって来て、お前の名前なんか知る訳ないでしょ?!」
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