《序章》

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 人の記憶とはアテにならないものだ。 特に幼い頃の記憶というものは、確かに自分で体験したものであるはずなのに、所々欠落していたり、知らず知らずのうちに改変してしまっていたりと実にままならない。 中学生になって初めて出会ったはずの友人が、小学生の頃の記憶にぼんやりとした顔を出す。 その一方で、どうしても思い出せない顔が無数に存在する。 名前と顔が一致しなかったり、名前だけを覚えていたり……。 曖昧模糊(あいまいもこ)とした記憶の登場人物たち。 記憶とは、勘違いに彩られている。
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