6661人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、速水が引き継ぎに回ることで、3課の人たちにしわ寄せが及んでいるのも事実だ。
特に石田は、積極的に速水の仕事を引き受けてくれているため、ここ最近残業が増えている。
「いろいろ迷惑かけて、悪いな」
謝ると、石田は眉を寄せ、語気を強めた。
「悪いのは山本サンでしょ! 一哉はさ、何も気にすることないよ。それに、笹木ちゃんなら、仕事も早く覚えてくれそうだし、心配いらないって」
「……そうだな」
石田の優しい言葉に、感謝しながら頷いた。
すると、彼は嬉々として口を開いた。
「今日さ、一哉が笑うのを見て、嬉しかったんだ。楽しそうにしてるの、久しぶりだったから」
「…………」
気恥ずかしさから、顔を背けた。
自分でも意識していたため、直接言われると、照れくさい。
最初のコメントを投稿しよう!