第1章

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そんな状況の中、速水は新入社員の引き継ぎを買って出たのだろうか。 今日、当たり前のように仕事を教えてもらったが、彼には本来やるべきフロント業務があるはずなのだ。 速水の苦労を思うと、心が痛くなった。 黒田の話から、3課の人たちが自分に時間を割くことで、大変な思いをしていることも分かった。 彼らの負担を軽くするためにも、1日でも早く仕事を覚えなければと、気を引き締める。 「私、頑張らないと」 そう呟くと、黒田は大きく2度頷いた。 「3課の現状を知っていれば、あなたの意識も高まると思ったの。学生気分が抜けきれない子を、たまに見かけるから」 さりげなく毒を吐かれ、麻衣子は一気に縮み上がった。 ふっと頭に浮かんだのは、女性誌の、読者の体験談が掲載されているページ。 OLのつらい体験談の横には黒田の顔写真があり、その下には「M・M管理のお局様」と記載されている。 怖々と写真を見ると、そこに写る彼女が急に口を開いた。
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