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午前5時18分。
こんな早朝にかけてくるのは、兄の真司か名古屋の叔母くらいだろう。
スマートフォンを手に取ると、画面に「笹木真司」と表示されていた。
自然とゆるみかけた頬を、慌ててキュッと引きしめる。
ひとり暮らし6日目にして、早くも寂しさを感じていると悟られないためには、気が抜けないのだ。
「もしもし」
麻衣子はわざと素っ気ない声を出した。
しかし、耳にはいつも通りの優しげな声が届く。
「あ、おはよう。よく眠れた?」
「……おはよう。ねえお兄ちゃん、毎日かけてこなくて大丈夫だよ。私、ぜんぜん寂しくないし」
強がりを隠すために「ぜんぜん」を強調すると、なぜかクスッと笑われた。
「いつも言ってるだろ、生存確認だよ。声を聞かないと、安心できないから。元気かどうかも気になるし」
「もー、ホントに心配性だよね、お兄ちゃんは」
嬉しいくせに、ついひねくれた言い方をしてしまった。
でも、ここで素直に喜んでいたら、うっかり本音を出しかねない。
もし、今抱えている孤独感の一端を見せてしまったら、真司は麻衣子を彼の家へ連れ戻そうとするかもしれないからだ。
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