第2章

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胸がざわつき始めた。 やめてください。離れてください。 はっきり言わなければと思えば思うほど、気が焦り、余裕がなくなっていく。 不意に男の目が動いた。 それはゆっくりと、麻衣子の胸へ、腰へ、足へと下ろされていく。 身体中をなめ回すような視線に、堪らなく嫌悪を感じた。 情欲的な目は、やがて麻衣子の顔に戻ってきた。 「かわいいね」 男は麻衣子の耳に口を近づけ、そっと囁いた。 ビクッと身を震わせると、楽しそうにクスリと笑う。 「やめてください」 やっとの思いでそう言うと、冷笑が返ってきた。 「ここ、店員からは死角になってるんだよね」 麻衣子は言葉を失った。 ───この人、常習犯ではないだろうか? そんな疑心を抱いた直後、横から大きな手が伸びてきた。 その手は躊躇なく麻衣子の太ももの上に乗せられ、撫でるように前後に動かされた。
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