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胸がざわつき始めた。
やめてください。離れてください。
はっきり言わなければと思えば思うほど、気が焦り、余裕がなくなっていく。
不意に男の目が動いた。
それはゆっくりと、麻衣子の胸へ、腰へ、足へと下ろされていく。
身体中をなめ回すような視線に、堪らなく嫌悪を感じた。
情欲的な目は、やがて麻衣子の顔に戻ってきた。
「かわいいね」
男は麻衣子の耳に口を近づけ、そっと囁いた。
ビクッと身を震わせると、楽しそうにクスリと笑う。
「やめてください」
やっとの思いでそう言うと、冷笑が返ってきた。
「ここ、店員からは死角になってるんだよね」
麻衣子は言葉を失った。
───この人、常習犯ではないだろうか?
そんな疑心を抱いた直後、横から大きな手が伸びてきた。
その手は躊躇なく麻衣子の太ももの上に乗せられ、撫でるように前後に動かされた。
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