第2章

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スカート越しに、男の手の感触が伝わってくる。 咄嗟に、麻衣子は椅子を引いて逃げようとした。ところが、どういうわけか少しだけしか動かない。下げられない。 下方を見ると、いつの間にか片足で椅子をがっしり押さえられていた。 瞬く間に、全身から血の気が引いていく。 「やめて……!」 精一杯に出した声は、ひどく掠れていた。 男の顔に、余裕の色が浮かぶ。 「みんな、他人には結構無関心なんだよね」 売り場の方をチラリと見て、彼は言った。 「それに、これだけ距離が近いと、恋人同士に見えるんじゃないかなあ」 男は自分の椅子を動かし、さらに距離を詰めてきた。 ───やめて! 今度は声が出なかった。 助けを求めようと、上半身を色々な角度に動かしもがいてみるが、大きな体に阻まれてうまくいかない。
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