第1章

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僕は知っている。 もうずっと前から君の事を。 木々が美しく色づき始めるこの時期だけは、何時も立ち止まらずにはいられない 。 君はいつも笑顔で風のように通り過ぎていくね。 舞い上がる木の葉と、まるで戯れるように。 子供の頃、気がつくとこの場所に来ていた。 いつまでも家に帰らない僕を探しに来た父さんは、 僕を見つけるとホッとしたような笑顔になり、少し泣きそうな顔をした。 そしていつもギュッと抱きしめてくれた。 少し大きくなった頃、この場所の話を聞いた。 ここは、僕の母さんが大好きだった場所なのだと。 A「ほら見て!すごい綺麗な紅い世界!わたし、秋が一番好きよ!」 身体が弱かった母さんは、僕を産むと同時に天国へ逝ってしまった。 きっと、今も母さんは写真の中と変わらずに綺麗なままでここにいるのだろう。 B「母さん。僕を生んでくれてありがとう。」
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