第1章

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 僕は、一瞬を好きになった。  今週は、四日連続だ。  毎日、同じ時間での帰り道、柴犬を連れて散歩をしている少女とすれ違う一瞬を僕は好きになった。  金曜日。今日、すれ違う事が出来れば初連覇である。  そして、いつもの時間にいつもの帰り道に差し掛かると、その先には――  心の中でのガッツポーズを表情に出さないようにいつものペースで歩を進める。  あと――十m、八m、三m、一m―― 「……あのッ――」  初めて、一週間彼女とすれ違った日。僕は、彼女に声を掛けられた―― 「フッ、ファスナー開いてますよ」 「ワン(ドンマイ)!」
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