キンモクセイ

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―――――― 一年半後 三月 中旬  わたしは第一志望の国立大学へ合格し、春からもともと住んでいた東京の市街へと引っ越すことが決まっていた。  もちろん、一人暮らし。    今日は、高校生活の後半の一年半を過ごした高校の卒業式。  泣くかな、と思ったけど、思ったより平気だった。  それよりも、時間が気になって仕方が無かった。  友人たちとの連絡先のやりとりや、色紙へのコメントの書き合い、お世話になった先生へのお礼、どれもこれも急いで済ませ、わたしは足早に学校を後にした。  謝恩会まではまだ時間がある、何を急いでいるのか、――――
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