キンモクセイ

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 わたしは、走る勢いそのままで、少しだけ手を広げた先生のなかへ飛び込んだ。  初めて抱きつく、初めて抱きしめられる、愛しいその人。  たばこ臭い、大人の男の人のにおい。 「おせぇよ。」  いつも通りのぶっきらぼうで冷たい言い方、それがなお先生を先生たらしめている。  そっと抱きしめられた腕の中で顔をあげると、初めて見る穏やかな笑顔。    わたしたちは、二度目の口づけをした。 End.
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