第1章

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LINEでメッセージが来て降りていくと、白い大きなセダン車が止まっていて、中から詩乃が手を振っていた。 なんか、ちょっと残念な気がしたのは何故だろう。 わたしは、ありがとうございます、と言って後ろのドアを開けた。 新しい車の匂いがした。 なんか、これ、見慣れない車だけど、外車? 「藍沢さん、お呼び立てして申し訳ない」 北島が妙に大人なことを言った。 いや、立派な大人だった。 これで普通か。 「いえ、こちらこそ迎えに来てもらって・・・」 来てもらって・・・なんだろう。 すみません?ありがとう?その前に迎えに来て頂いて? 丁寧な言葉遣いって難しい。 「いえいえ、とんでもない。 それにどっちにしてもお昼御飯に出かけるわけですし?」 北島はナビを手馴れた感じで操作して、メモリーされていた何処かを呼び出した。 「中華、でいいですかね?おしゃれな感じじゃないんですけど」 わたしは頷いた。 何処に行きたいか、なんて聞かれても答えられない。 店なんか知るわけも無いし。 「シュンイチ、ラーメン好きだよねえ」 詩乃が呆れたようにぼそぼそと言った。 「北島さん、ラーメン好きなんですか?わたしも好きです」 片手でハンドルを握りながら、北島は頷いた。 「出てくるの早いですしね」 北島は苦笑して、こちらをちらっとミラー越しに見た。 目が合って、何か妙にドキッとする。 「味は、よくわからないんですけどね。 味覚は人より劣っているらしくって。 藍沢さんは、何系のラーメンが好きなんです? こってり派ですか?薄味さっぱり派?」 わたしは、最近食べたラーメンを必死で思い出す。 なんだったかな。 「こってり、かな」 「いいですよね、こってり。 さっぱり系がいいと言われても、なんか物足りないんですよ。 食べたーっていう実感があります、こってりは」 そういう北島はスマートな体型のさっぱりした髪型の医者だ。 なんだか妙に似合わなくて面白い。 わたしはなにがおかしいのかよくわからなかったけれど、いつの間にか笑っていた。 まあ、いいんじゃないかな。 そういう年頃だし。 北島は満足そうに頷いた。 詩乃が前の席から振り向いた。 「沙織、あんまり気を使わなくていいからね。シュンイチ、本当は緊張しているんだよ。本当は女子が苦手なんだから」
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