<U11>

2/19
前へ
/327ページ
次へ
和代の目の前には お茶のペットボトルと あんぱんひとつが 置かれていた。 昼食もここで 取るように言われて 遠山が差し入れて くれた物だった。 時折する、 通路を歩く音にも 反応するのを止めて 俯いた和代の視線の先、 机上には携帯があり、 その画面には 全件削除しますか? の文字が表示されていた。 和代はそれに 手を伸ばした。 と同時にドアを ノックする音がした。 「和代」 「篠崎、悪かったな。 全部済んだぞ」 やって来た遠山と洋子は、 話しかけても 立ち尽くしたままで 何も言わない和代に 慌てて言った。
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加