<U11>

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「何でもありません」 その小さなかすれた声に 眉をひそめた川島は、 すぐ脇のドアを開けて 和代を誘った。 広い食堂は 北向きで日差しはないが 外が見える分、 先の部屋とは違い 少しは解放感があった。 昼時であれば、 人と調理の熱が籠もる この部屋も 今は寒いくらいで、 沢山のテーブルと 椅子が並ぶ部屋の 隅に置かれた 自動販売機だけが 鈍い音を立てていた。 「ほら、これ飲んで。 それとこっちも食べろ。 事の次第は遠山さんから 聞いて来た。 疑いが晴れて 良かったじゃないか」
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