<U11>

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「なんとなく判るんです。 こいつは危険だ。 いつか裏切るって、 判っているのに 信じてみようと思っては 裏切られて。 自分の甘さが 嫌になりました」 川島は今の自分の状態、 上司を甘く見て しっぺ返しを受けた、と 似ていることに 気が付いていたが、 和代にはそれ以上に 何かがある気がした。 「それだけか? そのくらいなら 俺と同じだが」 「早く死にたい」 「えっ?」 「他人なんか信じるなと プログラムなんて出来ないし、 削除キーが欲しいのに、ない」 そう言うと和代は 上着とその下の ブラウスのボタンをはずして、 中央に近い左胸を見せた。 長かったり、 穴の様だったりする痕が そこにはあった。
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