石に刻む2 為事

＜U12＞

「お世話になりました」

そう言って
前田と丸は頭を下げた。

後ろ盾を失い、
新しい課長と折り合いを
付けられなかった前田は、

職場移動を
引き受けてくれる所が
なかった為に、

ここに至ってようやく
退職を選んだのだった。

丸はもはや精神的に
無理と言う事での
退職だった。

利益の追求をこれでもかと
言わんばかりに欲する
新しい上部のやり方に、
誰もが疲れ果てていた。