<U12>

14/27
前へ
/327ページ
次へ
天から与えられた 使命をやり遂げる その道を選ぶ事に 和代は迷わなかった。 それは夫もかつて 言っていた事だった。 そこから 新しく始めればいい 今は、いないけれど、 たぶんそう言って 背を押してくれるだろうと 和代は思っていた。 皆に別れを告げ、 建物の外に出ると そこかしこで辞める者、 残る者の姿があった。 辞めても残っても地獄、 そう言う言葉も聞こえた。 貰った花束を胸にして 長年通った工場を見上げ、 和代は深々と頭を下げた。
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加